投稿者 yojinbo | 2011/01/30

怒った顔を見た時、男性はストレス状況からすぐに逃げ出し、女性は脳の活動を活発化させる


南カリフォルニア大学の研究者が新たな研究結果を発表した。「怒っている表情を見る」というストレスを与えられた男性は、他人の感情を理解する脳の部分の活動を減退させる、というものである。
結局、ストレスに対し沈黙しストイックな反応を見せるのは男性ならではの反応のようだ。
「人間が社会的行動上でストレスを感じた時、最も基本的な社会との交流の一つ、つまり他人の表情を読み取る行動に性差が出る、ということが明らかになったのは今回が初めてです。」と語るのは南カリフォルニア大学感情認知研究所所長のマーラ・マザー氏(Mara Mather)だ。
10月6日付けのニューロレポート誌(NeuroReport)に発表された記事の中で、マザー氏と共同研究者達は、激しいストレス状況下において男性は、表情、特に恐怖と怒りの表情に対する脳の反応が薄いという数々の実験結果を発表している。
男性も女性も人の顔を見ると、脳の中でも基本的視覚処理(「顔の表層」)を司るや部分や表情を理解し読み取る部分が活動を始める。
しかし、ストレス状況下の男性は「顔の表層」の機能を低下させていただけでなく、表情から感情を読み取る脳の機能を低下させていた。
それに対し、女性はストレスにさらされると逆の反応を示し、性差が明白に表れた。ストレスを感じた女性は「顔の表層」の活動が活発になり、対象群(=ストレスを感じていない状態の)女性と比べ表情を読み取る脳の機能を高めていたのだ。
ストレスの目安として知られているコルチゾールレベルは 寒冷昇圧ストレス試験で操作されたが、基本コレチゾール値やコレチゾール値の変化には性差が無かった。
ストレス状況下の男性と女性は、対象群の人々と比べ人の顔を覚える能力が高かった。
「ひどいストレスを感じた際、男女では脳内で全く反対の活動と反応が起こることが研究により明らかになりました。」と、 南カリフォルニア大学デーヴィス老年学大学(USC Davis School of Gerontology)の老年学准教授にして同大学文学芸術科学大学(USC College of Letters, Arts and Sciences)心理学准教授であるマザー女史は言う。
「ストレス状況下では男性は自分の殻に閉じこもる傾向があり、それに対し女性は感情的なサポートを求める傾向があります。」とも語る。
側頭極は、他人の感情を理解するために重要であることが示されている一方で、脳の一部が他人の経験をシミュレートするという重要な役割を果たしていることが以前の研究により明らかになっていた。どちらも下前頭部と小脳扁桃として既知の回路の一部であり、同情や社会認知を司る部分である。
研究は右利きで煙草を吸わない47名を対象に行われた。被験者は研究の1時間前から運動やカフェインの摂取を控えるよう求められ、ホルモン投薬による避妊やステロイド投与を受けている者はいなかった。
南カリフォルニア大学デーヴィス老年学大学(USC Davis School of Gerontology)のニコール・ライトホール氏(Nichole Lighthall)とリン・ンガ氏(Lin Nga)、さらにテキサス大学(University of Texas)のマリッサ・ゴーリック氏(Marissa Gorlick)もこの研究に貢献し、また国立老化研究所も研究の補助をしている。


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